2013年06月14日

原発ゼロにした場合の影響を試算してみる

原発ゼロにした場合の試算をしてみよう。ここでは、最も影響を受けるであろう関西電力について考える。

■電気料金への影響
関西電力が料金値上げ申請時の資料をみると、値上げ申請時に見込まれている原発の発電量(発受電電力量)は296億kWhである。
これには、大飯3,4号と高浜3,4号(2013年7月以降運転と想定されている)が含まれているという。
仮にこれを火力で代替したとすると
296億kWh×10.62円/kWh(※)=3144億円

※10.62円/kWhは関電の火力の平均コストで値上げ申請資料に記載されている値。どのような運転がされるかによって数値が変わるが、ここでは簡単化のために、これを仮に用いる。

つまり、3144億円が火力の焚増代として必要である。

他方で、原発をゼロにすると、原発に関連する原価がいらなくなる。

これは、2011年3月期の有価証券報告書に記載された資料から

営業費用分3265億円+事業報酬分284億円=合計3549億円

と推計できる。

したがって、焚増代をコスト節約分が上回る。よって、2013年に行った以上の追加的な電気料金の値上げはいらない。ただし、メンテナンスが火力等でかかるだろうから、その分の費用がいることになる。単純ではないことは確かである。(今後の検討課題である。)

■経営への影響
電気料金には、これ以上の影響はなさそうだが、原発ゼロにすると、電力会社の損益に大きな影響がでる。なぜなら、原子力発電施設の除却損、核燃料資産の評価損がでるからである。
ただし、使用済み燃料再処理もいらなくなるので、使用済み燃料再処理等引当金の戻入益などもあるから、これは電力会社によって事情が異なってくる。

さしあたって関西電力について考える。下記を全て足し合わせると、マイナス2481億円である。

使用済燃料再処理等引当金戻入益 6564億円
使用済燃料再処理等準備引当金戻入益 426億円
原子力発電設備除却損 -3667億円
建設仮勘定評価損 -427億円
核燃料評価損 -5277億円(核燃料はどこかに売れればその分の損は無くなる)
資産除去債務にかかる利息費用 -100億円

つまり、2481億円が特別損失となる。この特別損失の処理については、一回で費用化してしまう場合と、繰り延べする方法がある。影響を緩和することは不可能では無い。

ちなみに、原発ゼロにした場合、新しい安全対策にかかる費用(2885億円)が節約される。これらの投資を行う前に原発ゼロに踏み切れば、その分だけ費用の節約にもつながる。

関西電力とは相対的に別の話になるが、再処理をしないという選択にもつながるから、六カ所再処理工場の廃止には別途考慮すべき点がある。これは国全体で考えるべきことになるかもしれない。

また原発ゼロにしてもこれまでの使用済み燃料を処分しなければならないから、直接処分費(1904億円程度と推計される)が必要になる。この手当は別途必要である。(上の特別損失にいれてもよい。)

以上の方法をもちいて、他電力についても計算する予定である。

注意:以上は、一般に国民向けに公開された資料(有価証券報告書、審議会資料)に基づき、一定の仮定をおいた試算である。無断転載、引用(一部引用、全部引用も含め)は禁ずる。また、確定した事実ではなくあくまで試算にすぎない。誤解や計算上の誤り、新たな事実が判明すれば適宜修正される。
posted by 大島堅一 at 14:04| 原子力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月13日

日本原燃への再処理料金支払い

関電の資料を詳しくみていくとおもしろいことがわかります。

日本原燃が所有する六カ所再処理工場でのアクティブ試験開始(2006年3月)以降、再処理料金を毎年136億円ずつ支払っているようです。

実際には、2034億円を前払いしてしまっているので、毎年その前払い金が減っていくというからくりになっていますが、まだ関電の使用済燃料が再処理されていないにもかかわらず、2006年以来毎年支払っているということになっているのには大きな違和感を持たざるを得ません。

出所:総合資源エネルギー調査会総合部会第15回電気料金審査専門委員会、2013年1月18日、資料4−1、関西電力「設備投資関連費用」2013年1月18、p.32

電気料金の実質的審査をした専門委員会の議事録まではまだ読んでいませんが、原発問題に詳しい方がいて、きちんと問題を指摘したのでしょうか。時間があれば、チェックしたいと思います。
タグ:関西電力
posted by 大島堅一 at 15:22| 電気料金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

原発の安全対策の追加的費用

関電の値上げ申請資料をみていると、もう一つ、興味深い数値がでていました。原発の安全対策に関するものです。

一つは、福島事故後の追加的な投資に関する数値で、2011年度以降の5カ年で、合計2341億円とありました。

もう一つは、委託費の増加です。シビアアクシデント対策等で増額しているようです。これが246億円/年あります。これを、関電所有の原発の設備容量976.8万kWでわって、kWあたり単価を計算し、120万kWのモデルプラントに当てはめると1基あたり年間30億円増になります。ごく単純な試算なので間違いがあるかもしれませんが、これは原発のコストを0.5円/kWh位引き上げるものになります。(★下記の追記2を参照)

出所:総合資源エネルギー調査会総合部会第11回電気料金審査専門委員会、2012年11月29日、資料5−1、関西電力「電気料金の値上げ申請について」2012年11月、p.12, 15

追記
追加的安全対策ですが、別の詳しくなった資料で、中長期的な追加的安全対策費についての数値がでていました。これは2855億円とのことです。これを上と同じようにkWあたり単価にして、120万kWのモデルプラントにあてはめるて計算すると、コスト等検証委員会が2011年に計算したときよりも0.2円/kWhほどコストが上昇します。
なおここでの追加的安全対策費とは、新基準の骨子案がでる前のものなので、新基準ができたあとは、さらに追加対策費が必要になると思います。

出所:総合資源エネルギー調査会総合部会第15回電気料金審査専門委員会、2013年1月18日、資料4−1、関西電力「設備投資関連費用」2013年1月18日、p.3

追記2
委託費については、下記の資料により詳しい内容が出ていました。原子力安全対策(シビアアクシデント、バックフィット)としては、2013-2015年度の平均で130億円程度です。仮に今後も年間平均100億円ほど追加が必要と仮に考えると、0.2円/kWhほど原発のコストが上がることになります。(※上記の0.5円/kWh上昇ではありません。)

出所:総合資源エネルギー調査会総合部会第14回電気料金審査専門委員会、2012年12月26日、資料3-4、関西電力「その他経費・控除収益」p.10-12
タグ:関西電力
posted by 大島堅一 at 14:15| 原発のコスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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