2014年07月14日

第2回原子力小委員会での安井至委員長の委員会運営について


総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(第2回)が2014年7月11日に開催された。

このとき、委員の一人である吉岡斉氏は、川内原発再稼働に関する原子力市民委員会の見解を配布しようとした。だが、小委員会委員長の安井至(独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長)氏の判断により、会合において配布されることが許されなかった。

この件に関し、吉岡斉氏がまとめた文書を吉岡氏の許可を得て掲載する。

吉岡斉「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会(第2回,7月11日)でのCCNE見解の扱いをめぐるやりとりの概要」

配布しようとした文書:原子力市民委員会「見解:川内原発再稼働を無期凍結すべきである」

この小委員会は、エネルギー基本計画を受けて原子力政策の具体化をする委員会である。福島原発事故後、原子力政策への関心は高まっており、これまで以上に公正な委員会運営が必要である。

通常、審議会では委員の資料配付が認められている。なぜ吉岡委員の資料のみ配付を認めないのだろうか。今回の安井至委員長の態度は、委員会運営の公正さを失わせるものである。

また、今回、委員会の動画配信を認めないことになったという。原子力政策に対する国民の関心が高い中、リアルタイム動画配信をあえて行わないことは、原子力政策の政策決定プロセスの透明性を阻害する。(直接の傍聴は可能なようだが、毎回、霞ヶ関に出かけていける国民は極めて少数である。また議事録が公開される時期は数週間後になってのことであり、かつ、会議の雰囲気は伝わらない。)

委員の自由な資料配付を行わせず、一般国民のビデオ視聴もさせないという運営は、この委員会の課題の重要性に鑑みれば許されるものではない。このような不公正で不透明な運営をしながら、一体何を決定しようとしているのであろうか。

このような運営をする安井至氏が、この委員会の委員長として適格であるかどうかすら疑われる。非常に重要な委員会だけに、委員会運営が公正かつ透明に行われることを強く望む。
posted by 大島堅一 at 08:41| 原子力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月09日

関西電力大飯原発3、4号機の不思議

関西電力大飯原発3,4号機の安全性についてだが、7月3日の時点で原子力規制委員会で決定された評価書では「直ちに安全上重大な問題が生じるものではないが、」「いくつかの点において、新規制基準を満たしていない点が認められた」(※1)と書いてある。

※1:原子力規制委員会「関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の現状評価書(案)」平成25年7月3日、p.45 (http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0013_01.pdf

つまり、現状では、関西電力大飯3,4号機は規制基準を満たしていないということを、規制委員会が認めているということだ。

なのに、なぜか大飯3,4号機は動いている。いったいどうしてなのだろうか。私には、規制委員会の論理が理解できない。

また、7月3日の時点で新規制基準を満たしていないと書いてるのに、7月5日に関西電力は大飯3,4号機の再稼働申請をしている。これまたどうしてなのだろう。

それほど短期で克服できるものだったのだろうか。

全く異常なことが大飯3,4号機では起きているように思われる。規制委員会も政府も、なぜ大飯を止めないのだろうか。

それにしても「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」という文言は、原子力推進の呪文のようなものだと思う。確かどこかで聞いたことがある。
posted by 大島堅一 at 21:59| 原子力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月14日

原発ゼロにした場合の影響を試算してみる

原発ゼロにした場合の試算をしてみよう。ここでは、最も影響を受けるであろう関西電力について考える。

■電気料金への影響
関西電力が料金値上げ申請時の資料をみると、値上げ申請時に見込まれている原発の発電量(発受電電力量)は296億kWhである。
これには、大飯3,4号と高浜3,4号(2013年7月以降運転と想定されている)が含まれているという。
仮にこれを火力で代替したとすると
296億kWh×10.62円/kWh(※)=3144億円

※10.62円/kWhは関電の火力の平均コストで値上げ申請資料に記載されている値。どのような運転がされるかによって数値が変わるが、ここでは簡単化のために、これを仮に用いる。

つまり、3144億円が火力の焚増代として必要である。

他方で、原発をゼロにすると、原発に関連する原価がいらなくなる。

これは、2011年3月期の有価証券報告書に記載された資料から

営業費用分3265億円+事業報酬分284億円=合計3549億円

と推計できる。

したがって、焚増代をコスト節約分が上回る。よって、2013年に行った以上の追加的な電気料金の値上げはいらない。ただし、メンテナンスが火力等でかかるだろうから、その分の費用がいることになる。単純ではないことは確かである。(今後の検討課題である。)

■経営への影響
電気料金には、これ以上の影響はなさそうだが、原発ゼロにすると、電力会社の損益に大きな影響がでる。なぜなら、原子力発電施設の除却損、核燃料資産の評価損がでるからである。
ただし、使用済み燃料再処理もいらなくなるので、使用済み燃料再処理等引当金の戻入益などもあるから、これは電力会社によって事情が異なってくる。

さしあたって関西電力について考える。下記を全て足し合わせると、マイナス2481億円である。

使用済燃料再処理等引当金戻入益 6564億円
使用済燃料再処理等準備引当金戻入益 426億円
原子力発電設備除却損 -3667億円
建設仮勘定評価損 -427億円
核燃料評価損 -5277億円(核燃料はどこかに売れればその分の損は無くなる)
資産除去債務にかかる利息費用 -100億円

つまり、2481億円が特別損失となる。この特別損失の処理については、一回で費用化してしまう場合と、繰り延べする方法がある。影響を緩和することは不可能では無い。

ちなみに、原発ゼロにした場合、新しい安全対策にかかる費用(2885億円)が節約される。これらの投資を行う前に原発ゼロに踏み切れば、その分だけ費用の節約にもつながる。

関西電力とは相対的に別の話になるが、再処理をしないという選択にもつながるから、六カ所再処理工場の廃止には別途考慮すべき点がある。これは国全体で考えるべきことになるかもしれない。

また原発ゼロにしてもこれまでの使用済み燃料を処分しなければならないから、直接処分費(1904億円程度と推計される)が必要になる。この手当は別途必要である。(上の特別損失にいれてもよい。)

以上の方法をもちいて、他電力についても計算する予定である。

注意:以上は、一般に国民向けに公開された資料(有価証券報告書、審議会資料)に基づき、一定の仮定をおいた試算である。無断転載、引用(一部引用、全部引用も含め)は禁ずる。また、確定した事実ではなくあくまで試算にすぎない。誤解や計算上の誤り、新たな事実が判明すれば適宜修正される。
posted by 大島堅一 at 14:04| 原子力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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